CA MOBILE TECH BLOG

株式会社シーエー・モバイルのエンジニア・デザイナーの活動を綴るブログです

株式会社シーエー・モバイルの技術広報による、
技術に特化したブログです。
エンジニアとデザイナーの活動や思想を綴ってゆきます。

技の履歴書 ー デザイナー・長谷部 武詩

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ユニークな発想で視覚的に課題解決を行う技術者・デザイナー。このシリーズでは、その来歴を因数分解することによって、作品へのより深い理解を追求します。

初回は、超ミニマル直感的なデジタル・グラフィック表現である「ドット絵」を得意とするデザイナー・長谷部 武詩さんをピックアップします。ユニークな経歴と、周囲へ向けられた温かい視線にご注目ください。


▼プロフィール▼
長谷部 武詩(ハセベタケシ) 1983年生まれのAB型。webゲームサービスとフリーランスでイラストレーターとして活動後、キャラクターデザイナーとして活動中。



来歴 / バックグラウンド

「ハングリー精神が、ものづくりの原動力」

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今、こうしてWEB業界のデザイナーに落ち着いてますけど、結構、(人生)右往左往しているんですよ、これが。

もともと、小さい頃からモノを作るのが好きで、高校生の頃だったかな、ハードコアやパンクロック(音楽)にどっぷりハマってたんです。当時はなにぶんお金がないもんですから、安い服を焼いたり切ったりして、パンク・ファッションを自作してました。今思えばハングリー精神が、ものづくりの原動力であり原点でしたね。

高校卒業して、どうしようかなと考えた時に、服をちゃんと作ってみたかったのもあって、服飾の専門学校に入りました。2年学んで、ドレスやスーツも含めて、一通りは作れるようになって。姉のウェディングドレスも作れるようになりました。大変でしたが(笑)。

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▲ 長谷部さんがお姉さんの為に製作したドレス。本格的!


墓掃除のバイトまで!放浪の6年間

専門学校を卒業してすぐに、あるアパレル会社に就職したんです。ところが、入社後わずか1年で潰れちゃって。何かがポキンとおれちゃったんでしょうね、その後、6年間にわたってぶらぶらとしてました(笑)。

就職はせず、コンビニとか、ありとあらゆるバイトをやって。墓掃除のバイトとかもやりましたね(笑)。

とにかく(その6年間は)めちゃくちゃ遊びましたね。ライブ行ったり、クラブ行ったり、ゲームもしたし、釣り、スケボー、誰かと何かを作ることもやった。例えば、とある花火大会では、出店を躯体から作ったり、それはすごく楽しかったですね。今思い返してもどうしようもない奴だなと(笑)。

でもふと気づいたら27歳になってて。さすがにこのままじゃダメだって思って。



ツール(Illustrator)との出会いが転機に

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ちょうどその頃、美大出身の遊び仲間がいて、そいつにイラレ(Illustrator)を「使わなくなったから、あげる」って(※ 当時はパッケージ版)言われて。

とりあえずめっちゃ面白そうだったんでゲーム感覚でやりはじめました。目的も特になかったので、ガンダムの絵をひたすらトレースしまくるという。

ガンダムご存知の方ならお分かりになると思いますが、点と点、つまり直線で構成されているので、やりやすいのもあって、どんどんイラレにのめり込んで行きました。そんな中、友達のバンドのステッカーやライブのフライヤーなんかを作ったりし始めて、漠然と「これを仕事にしたいなぁ」と思うようになってましたね。

小さい仕事をいくつかやっていく上で、イラレを結構使えるようになってきたんですが、独学だし、自分の能力が世の中的にどのくらいのレベルなのか、試してみたいと思って、職業訓練校に入ったんです。そしたら、そこで結構できる方だって分かって。ちょっと自信がつきました。



ドット絵の魅力に取り憑かれる

それで、リクルート系の派遣会社に、技術のイラストレータとして登録したら、アバターゲームのデザイナーのお仕事が決まって、約5年間働きました。

そんなある日、ドット(pixelart)でキャラクター作って遊んでいたのですが、それが思いの外すごく楽しくて。

ドット絵に関しては、自分がゲーム好きなだけに親近感あるし、グラフィックの表現手法としてすごく好きなんです。たった1つの点で、質感とか、立体感とか印象がガラッと変わってしまうから、すごく難しいけど、それがゲームみたいで面白い。

想像力とか発想力のトレーニングになると思って、当時勤めてた会社の人をひたすらドット絵のキャラクターにするっていうのをやって、楽しみながらスキルアップしました。150人分くらい作りましたね。

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▲ 長谷部さんの作品は、ゲームからの影響も大きい



描きまくってたら、仕事が舞い込んできた!

作品としてもドットでいろいろ作ってた時に、それ(ドット絵)を目にした友人のデザイナーが、とある本(ガイドブック)の挿絵をやらないかって声をかけてきてくれたんです。顧客対応マニュアルの本だったんですが、ドットがキャッチーだし分かりやすいしで、ピタッとはまって。

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▲ アクのないシンプルさが、マニュアル本のイメージにフィット

この時も100点くらい描き下ろしましたね。正直大変だったけど、楽しかった。だから作業期間は、1週間もかからなかったと思います。ちょうどこの翌年くらいに、自分が携わってたサービスが終了になってしまったんです。

そしたら、もともと仲が良かった齋藤 匠さん(シーエー・モバイル取締役)から声がかかって。それがきっかけでシーエー・モバイルに入社することに。当時も今も変わらず、本当に感謝ですね。今はアーティストサイトのキャラクターデザイン、グッズ関連のデザイン制作・監修をやってます。

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▲ (左)齋藤 匠さんへの愛情が滲みあふれる
▲(右)社内のラベルデザインコンペで選ばれ、実際に製品化した



結局、1つとして、無駄なことなんてなかった

こうして振り返ってみると、自分の過去のあれこれと今のインプットが全部、一つにつながっていると思うんです。全部が関係してる。墓掃除も含め、1つとして無駄なことなんてなかったですね。これからもきっとそうだと思います。

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▲ ビックリマンも長谷部さんの作風に影響を与えた要素の一つという

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▲ 抽象的な点の集合が、具象的な何かを想起させる面白さに引かれた


影響:ファッション

色への興味から、志茂田景樹が好きに

もともと性格が暗いんです。姉が3人もいるからかもしれませんが、男子勢力弱いんで、基本、暗くて目立たない服を選びがちでした。

でも服飾(専門学校)に入ってから、色味ってものに興味を持ち始めて、なぜか志茂田景樹が好きになって(笑)。

原色を(ファッションの)どこかに取り入れたいと思うようになって。靴とか帽子とか。色味の感覚は、(6年のバイト時代の一つ)古着屋でも培ってたし、キャラクターデザインをする時に、すごく生かされていると思います。



ユニクロは、買って一年寝かせる

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高い服は、あんまり好きじゃないんですよ。だってそのままでカッコいいじゃないですか。安い服を「いかにカッコよく着るか」を考えることに、面白さを感じるんです。

ユニクロとか買っても、すぐ着ないで、だいたい1年寝かせたりします。すると1年後、だれとも被らないので(笑)。帽子ですか?帽子は5個は持ってますね。

帽子って、ファッションの最後のトッピングなんです、担々麺のパクチーみたいな。とかかっこいいこと言ってますけど、実は、髪を整えるのが面倒っていうのが理由です(笑)。

服飾関連は今も作ることあります。息抜きでたまに余った布とかリメイク(ジャンパー解体したりして)でカバンを作ったりします。




コミュニケーション:主体を相手に

物事は、仏教的な視点で見た方がクリアに見える

さっきも話したんですが、昔はめちゃめちゃ暗かったんですよ、人と話すのとかも苦手でした。そんな時パンクに出会って、セックスピストルズにハマって、安全ピンでピアス開けたりしましたね(笑)。

でも、20歳くらいの頃ある日、仏教に出会ったんです。もともとお寺が好きというのもあって、そういう思想に触れる機会も多かったんだと思います。

それで、物事を見る時には仏教的な視点で見た方が、いろいろとクリアに見えるんだっていうことに気づいたんです。



主体は自分ではなく、相手中心に考える

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弘法大師 空海がそうであったように、仏教的視点というのは相手が中心で。

それを意識するようになってからは、コミュニケーションの主体が自分から相手に移って、相手がこれ言われたらどう思うのかなとか、すごく相手の気持ちを考えるようになりました。

だから今は、自分が話すより、相手の話を聞くことの方が多いですね。



1人より、みんなで作ったものの方が面白い

こういう(コミュニケーション)スタイルになってからは、表面的に見えるものより、その裏にある経緯であったり意図などを重視するようになって。相手が何を伝えたいのかをいつも考えてます。

ですが相手が優先で自分は後、っていうスタンスは、人生的に損をすることが多いです(笑)。何でか分からないのに怒られる時もあったり(笑)。

でも、いつかその人が気付いてくれれば、それでいいやって思う。そうしていくと自然といろんな人と仲良くなれるし楽しいですね。

仕事において「チームビルド」って言葉が好きで、尊重してて。1人で作るよりもみんなで作った方が、やっぱり内容が濃い。

コミュニケーションをたくさんとって、たくさんの目で作り上げられてるから、完成度が全方向的に高くて、どんな視点から見ても、面白みがあると思うんですよ。

これからももっといろんな人と関わっていきたいですね。



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内気だった長谷部さんは、今は人と話すことが楽しくて仕方がないといいます。彼の制作物は、本人に代わって気持ちを饒舌に伝える、ノンバーバル・コミュニケーション・ツールとして、補完的機能を果たしてきたのかもしれません。