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株式会社シーエー・モバイルのエンジニア・デザイナーの活動を綴るブログです

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デザインスキルを”加圧鍛錬”する「デザイナーロワイアル」

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デザイナーマネジメントの現場の悩み

デザイナーの考え抜く力・提案力を伸ばしたい、デザイナーのモチベーションを上げ、組織におけるプレゼンスを高めていきたい、強いデザイナー組織を作りたい。

そう思いつつ、効果的な方法がなかなか見つからない、という現場は少なくないでしょう。

ネット上には様々なビジネス向けのメソッドが紹介されていますが、それが必ずしも個性豊かなデザイナーの能力アップにつながるとは言えず、条件や規模によってはそのまま現場に取り入れられないものもあります。

クリエイティブに特化した内容であっても、講義のような一方通行形式だと、まず、すぐに飽きてしまうメンバーも出てきてしまうでしょう。

当社も「これ!」というものに巡り会えぬまま、長年ぼんやりとした悩みを抱えておりましたが、今年に入り導入したあるイベントにより、一定の成果が得られたので、ぜひ紹介したいと思います。

デザイナーという生き物の生態を見事に捉え、彼らが奮起する要素が散りばめられた、優れたイベントだと思います。



「デザイナーロワイアル」とは?

今回、実施したのは「デザイナーロワイアル」と名付けられたデザイン・アイディアで競うイベントで、サイバーエージェントのクリエイティブ執行役員・佐藤洋介氏が提案し、自らアドバイスと採点をする方式で始めたものです。

参考: www.cyberagent.co.jp

もともとは、「リリースから時間が経って、いつの間にか使いにくくなってしまったサービスを、イベントを通して一気に解消、品質アップもしてしまおう」という主旨で始められましたが、参加するデザイナー側も、競争要素が加わることで刺激を与え合い、自然にスキルアップしていくという点で、研修としての優れた側面も持っています。



「デザイナーロワイアル」のルール

バトル(プレゼン大会)は月に1回のペースで、トータル3〜4回繰り返されます。各バトル本番の約1ヶ月前に、その「お題」となる社内のサービスとその特徴が発表されます。

参加デザイナーは、準備期間中にそのサービスを使い、理解を深めた上で、ビジネス的・デザイン的課題を見つけます。

バトル当日は、見つけた課題に対する解決手段をA3ペラ1にまとめ、1案あたり1分のプレゼンを3回、行います。

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▲ スコアボード(サンプル)。プレゼンごとの点数をその場で書き込み、臨場感を煽る

採点は、佐藤氏がその提案のクオリティを見て行い(5点満点で1〜5点)、全3回のプレゼン終了後の合計点でそのバトルの勝者を決めます。

そして全3〜4回のバトルの累計点で、総合勝者を決定します。

1回のバトル参加者は、10名前後。今回はベテランと若手半々の混成チームでしたが、テーマに合わせて変えるといいでしょう。

デザイナーが数十名規模で所属する企業であれば、10人前後のチームに分けて、時期をずらしながら実施するとよいでしょう。



バトル当日の様子と成果

会場は、当社の場合、閉じた会議室などではなく、あえてオープンなカフェエリアにしました。

また、社内SNSを利用したイベント告知や結果発表、勝者のポスター掲示など、広報活動と密に連動させることで、認知度が上がり、常に多くの傍聴者で人だかりができました。

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▲ デザイナーだけでなく、エンジニア、プロデューサー、人事、法務、役員まで多くの人が傍聴に

賑わいを演出しオープンにすることで、社内におけるデザイナー組織の存在感がアピールできたと思います。

参加デザイナーにとっては、普段関わっていないサービスのデザインに挑むことや、自らが担当するサービスに対し他のデザイナーからの改善提案を聞くことで、視野がぐっと広がりました。

また、お題のサービスの担当プロデューサーは、第一線で活躍するデザイナーが10名ほども束になって、"目から鱗"なアイディアを山ほど持ち寄ってもらえたことで、非常にモチベーションが上がっていたようです。

それ以外のメンバーも傍聴に訪れるたび、それぞれの切り口や視点の違いを、驚きをもって楽しんでいました。チームの関係性向上にも異業種交流にも一役かってくれる、「濃い」イベントとして定着しそうです。



「ロワイアル」による”加圧鍛錬”とは

「ロワイアル」というネーミングからは、まるでデザイナー同士の潰しあいのような印象があるかもしれませんが、実際の武器は「アイディア」そのもの。

より強い武器(アイディア)を提示することで、周囲のデザイナーは自ずと「やられた!」と感じ、精神的なヒットポイントが上がる、というゲーム性も見ものです。

日頃からいかに深くものを見ているか・考えているかがモノを言う試合なのです。

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▲ 赤ペンで加点ポイントがマークされ、最終得点が記される。学生に戻ったような気分に


このイベントは、デザイナーのモチベーションをあげるためのいくつかの重要なファクターが凝縮されています。

デザイナーは、自分のスキルを披露し、目立つことに喜びを感じる人種なので、自分のスキルを自慢できる場を儲けることは大変重要です。

また、周囲のデザイナーと比較されたり、差を感じたりすることでエネルギーを得るため、単なる発表会よりも、順列がつくバトル形式の方が燃えるのです。

さらに、若手は一刻も早く先輩に追いつき追い越したいと考えているので、フラットに競争できる場はまさにチャンス。一気に畳み掛けようと、鼻息荒く準備に勤しみます。

一方、追われる側の先輩たちは、そんな後輩たちの姿にプレッシャーを感じ、ベテランの威厳を保つべく手を抜くことができません。

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▲ カフェ全体に聞こえるよう、プレゼンターも評価者もマイクを使用。MCバトルのよう


社内イベントとはいえ、開催期間中は様々な力学が働き、気が休まることはありません。社内広報活動も連動しているので、常に誰かの視線に晒されている状態です。

通常業務もこなしながらなので、負荷は相当高まりますが、その分精神も研ぎ澄まされるため、終わった後は深い達成感を感じ、皆とても良い表情になります。

徹底的に取り組むことで、その後の打ち上げも充実したものになります。

それだけに、適当な提案、脇の甘い論展開はできない雰囲気もあり、提案者には大きなプレッシャーもかかります。

着眼点(問題提起)が同じであっても、掘り下げの深さやプレゼンテーションの質によっても、得点が変わります。

その違いを見ることだけでも、参加者には大きな学びとなり、1クール終えたあとのデザイン改善案はかなり本質的なものになっており、担当事業部にとっても得るものが大きくなっています。

ただし、デザイナーのトレーニングとして、ロワイアルが ”万能” という訳ではありません。

短期集中で高い負荷をかけて鍛錬するため、加圧トレーニングのように成長曲線がぐっと上向くものの、長期化させると疲弊してしまいます。

また、負荷を高めるためには適切なライバルを用意し、ふさわしい「場」を準備する必要がありますので、全体ストーリーをしっかり考え準備する運営コストがかかります。

技術力向上の基本は、まずはコツコツ、時々起爆剤としてロワイアルを仕掛ける、というリズムが理想的なように思います。



今後の動き

第1回の成功を受け、現在、新メンバーを集めての第2回デザイナーロワイアルを設計中です。シーエー・モバイルは「クリエイティブが強い」と言われる組織を目指し、今後も様々なイベントを仕掛けて行きたいと思います。



【関連記事】 第1回のバトルにおける3名の勝者の事後対談「第1回「デザイナーロワイアル」〜勝者はどう勝ちぬいたのか〜」もぜひご参照下さい!


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